刑事事件における暴行と傷害―弁護士など法律家はどう考えそうか

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暴行と傷害の区別

暴行罪における「暴行」とは、人に対する有形力の行使であることがわかりました。では、「傷害」とはどのようなことをいうのでしょうか。「傷害」に至らない暴行が暴行罪となることから、両罪の区別のためにも非常に重要な問題となります。

一般的には、「傷害」とは人の生理的機能を害する行為とされています。生理的機能を害するとは、文字通り、生活機能を毀損させることや健康状態の悪化を招くことなどを指します。具体的には、ナイフで切りつけて腕から相当量の失血をさせることや失神をさせることなどが生理的機能を害することにあたります。他にも、ボコボコに殴って脳震盪を起こさせることなどもよくある傷害罪の例です。少し変わった事例としては、性病であることを隠して自己の性器を押し当てて性病を感染させる行為で傷害罪となった事例があります。こうした例に対して、暴行罪は有形力を行使したものの、それらに至らなかったものをいいます。軽く拳で顔面を殴ったような場合が典型例です。ちなみに、他人の同意なくハサミなどで髪の毛を切る行為は暴行罪にあたりますが、毛根から引きちぎるなどして、毛根や粘膜を傷つけたような場合には傷害罪となります。

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